この批評(レビュー)は、まだ三国志13をプレーしたことがない方のために、ゲームの概要と個人的な批評を紹介したものです。購入の参考になさる方は、人によって違った楽しみ方、違った評価があることを理解した上で、お読みください。既にプレーされた方は、お読みになる必要はございません。
三国志13は、登場する武将の中から1人を選択し、その武将を主人公としてプレイする歴史シミュレーションゲームです。このタイプの作品を全武将プレイと呼びます。過去の作品では、三国志7、8、10が全武将プレイです。
全武将プレイ作品は育成要素が強いのですが、三国志13は武将間の絆が育成に大きく関わってきます。絆は、任務を手伝ったり、名品を贈ったりすることで結ぶことができます。絆を結ぶことで、内政や戦争の効果が上がり、特技も修得できます。絆を結ぶのにかなりの手間がかかること、勢力の拡大が早すぎて絆を結ぶ余裕がないこと、絆を結んだ相手とのイベントがないことなど、不満点も多々ありますが、アイデア自体は斬新です。
三国志13のマップには街道が張り巡らされていて、兵は城に紐付けされています。兵力を前線の城に輸送することができないため、複数の城と連動して軍勢を動かします。このシステムは、ストラテジーゲームとして評価の高い信長の野望創造と同じです。ただ、信長の野望創造と違って、不完全な仕上がりです。
街道の数が少なく、進軍ルートによる挟撃効果もありませんので、ただただ兵力を投入するだけです。太守以下の身分では軍勢1つを動かす事になるのですが、コンピューター君主のAIが酷いため、出陣しても他の城が連動して攻めてくれません。勢力が大きくなると連合を組まれて攻められるため、同盟で味方を付けておくことが重要になるのですが、コンピューター君主は外交においても全くの無策です。結果的に、全武将プレイでありながら、君主か軍師でないと戦略面を十分に楽しむことはできません。
戦場レベルで操作する采配戦争もあります。全体的に三国志12と似ていますが、新たに水上戦が加わりました。挟撃効果のある野戦の采配は面白く、戦法の威力もゲームバランスを破壊しない程度に効果的で、士気や連環が重要な水上戦は過去にない斬新なシステムで、兵器を使った攻城戦もなかなかの迫力です。兵科・特技・戦法の組み合わせによっては、兵力差を覆す采配も可能です。視界や伏兵がないのは残念ですが、総じて三国志12よりも良い仕上がりになっています。
全武将プレイ作品は、身分が上がる度に権限が増していくため、昇進を楽しむ面もあるのですが、三国志13に関しては昇進が面白くないです。戦略は、外交が使える君主か軍師でないと楽しめません。絆づくりは、武将の異動が少ない太守以上が適しています。采配戦争は、太守以下でないと1つの戦場に集中できません。つまり、特定の内容を楽しむためには、特定の身分を維持する必要が出てきます。アップデートにより昇進拒否が可能になり、随分と遊びやすくなったのですが、そもそも、昇進が嬉しくないというのはいかがなものでしょう。都督がつまらないのも問題です。
三国志12と信長の野望創造を組み合わせて、絆システムを盛り込んだのが、三国志13という作品です。良い食材を使っても、調理が下手なら不味くなる。残念ながら、三国志13はその典型的な例になってしまいました。現状では、戦略だけ、絆だけのように、素材を1つずつ味わいましょう。繰り返しますが、素材は良いです。アップデートやパワーアップキットで、劇的に面白くなる可能性も秘めています。
- おすすめ度 -
★★★★☆